2018年4月から頭頸部がんに、陽子線治療の保険適用が認められます。
参考腺様嚢胞癌に朗報です!陽子線治療が2018年4月保険適用
頭頸部がんの標準治療は手術ですが、がんが治っても見る、聞く、話す、食べるという機能が損なわれます。場合によっては生活自体が大きく制限されます。
そうした事態は、治癒後の人生が長い若年層にとってより深刻です。陽子線治療であれば切らずに治療ができ、QOL(生活の質)も維持することが可能です。
今回は陽子線治療と動注療法について2回にわけて詳しくお伝えしたいと思います。
動注療法と陽子線治療の併用治療
動注療法とは
動注療法の「動注」とは、がんの栄養となる動脈に高濃度の抗がん剤を直接注入する治療法です。
具体的には脚の付け根の動脈から入れた細い管を、がんのあるところまで血管を伝って通し、抗がん剤を注入します。同時に静脈に抗がん剤の中和剤を入れ、がんのある部分にだけ抗がん剤を作用させるため、正常組織への影響を抑えることができます。
腺様嚢胞癌は抗がん剤が効かない
腺様嚢胞癌は抗がん剤が効かないといわれています。しかしシスプラチンという抗がん剤で舌に注入する、動注療法なら効果があるということで治療に挑みました。
経験にもとづいての動注療法Q&A
Q. 通常の抗がん剤に比べると副作用が少ないのでしょうか?
A. 通常の抗がん剤治療は全身に抗がん剤が行き渡ると聞いています。
動注療法は脚の付け根の動脈から、カテーテルで原発部分までいき、抗がん剤を注入する治療法です。そして全身に抗がん剤が回らないように点滴で中和剤を入れていきますので、重い副作用が生じないよう工夫されています。
一回の治療時間は初回が2時間半、それ以降は2時間で、局所麻酔で行ないます。
治療中の痛みなどは個人差があると思うのですが、私の場合初回は麻酔があまり効かず、最初から最後まで痛かったです。
2回目は麻酔を多くしてもらい痛みはなかったのですが、治療中に嘔吐しました。
Q. 脱毛や吐き気、嘔吐などはないのですか?
A. 脱毛はもみあげ部分がなくなりました。
治療後の吐き気は一週間ありました。吐き気止めの点滴でおさえられていたので、実際に吐くことはなかったのですが、ご飯の匂いが気持ち悪くてすぐに下げてもらっていました。
吐き気がある間はなかなか食欲が出ず、点滴に頼る生活になります。しかしこれも個人差があるようで、私の症状は重いほうだと言われました。
大丈夫な人は、治療4時間後の安定解除がすぎると、ご飯を食べる人もいると聞いています。
動注療法体験記
「朝から陽子線治療をおこない、11時から動注治療の為の点滴が始まる。
弾性ストッキングをはき、尿管を入れてもらいオムツをする。そして最後は筋肉注射。
動注療法は15時から17時半までおこなわれるのだが、局所麻酔なので周りの状況が耳から伝わってくる。
麻酔のあと動脈にカテーテルを入れていくのだけれど、麻酔があまり効かず舌に到達するまでずっと痛い。
カテーテルが腫瘍に到達しているかCT撮影をしつつ作業が行われていく。
そして抗がん剤シスプラチンの投与開始。注入されると口の中が苦い感覚が伝わってくる。
それを、右側と左側の2回繰り返されるのだが首を振ってしまうほど痛かった。
私は首を振ってしまった為、カテーテルが外れ医師に怒られる。
そんな苦しみが2時間続き、疲れ果てて病室へ。
通常、治療が終わってから4時間後が安定解除で、脚の付け根の止血を医師がして終了。
・・・のはずが、治療終了後に悪夢が。。。
事前に伝えたれていた副作用、吐き気は点滴で抑えられていた。
しかし私に襲ってきたもの、それは痺れ。最初はひじから下の手、それが足から体中にまわり、最後は顔までもが麻痺。
気がついたら、胸に心電図、指先にパルスオキシメーター、そして左からの点滴が右にも点滴追加。尿管はつながられたままで、身動きがとれない状態で翌日の午後まで過ごすことに。
結局痺れが取れたのは2日後、ご飯は4日間食べられず毎日点滴がつづくことに。」
これが2013年9月24日おこなった、1回目の動注療法(全3回/3週間に1回)でした。
動注2回目でがんの縮小を確認
動注療法は、決して楽な治療法ではありません。
しかし2回目の治療でがんが縮小していることを確認できました。
陽子線の単独治療<動注との併用治療
動注療法を専門とする不破先生は、陽子線の単独治療よりも動注との併用治療を推しています。実際、私が治療をした福井県立病院、陽子線がん治療センターでの治療成績が、単独治療を上回ったと報告を受けました。
現在陽子線と動注療法の併用治療を実施している医療機関は下記の2ヶ所です。
- 福井県立病院、陽子線がん治療センター(福井県福井市)
- 南東北がん陽子線治療センター(福島県郡山市)