肺転移と治療法について

肺転移のイメージ画像

がんサバイバーのまりも(@suisui_marimo)です。

腺様嚢胞癌の治療から2年後、2015年12月に肺転移が見つかりました。私は腺様嚢胞癌が肺転移した場合、治療法はないと聞いていましたので、その言葉を鵜呑みにして治療について調べずに2年間過ごしていました。そんな時に肺転移という現実に直面したのです。

腺様嚢胞癌の特徴として、肺に多発転移することが多く、その場合は経過観察、つまり積極的に治療をしないケースが多いのです。しかし転移箇所がひとつだけの場合は、いくつかの治療法がありました。今回は肺転移が1カ所である初期段階の治療法についてお話したいと思います。

腺様嚢胞癌の肺転移と治療法について

腺様嚢胞癌は再発、遠隔転移の頻度が他の癌と比べても高いと言われております。一般的な癌の場合、5年で再発や転移がなければ、寛解といわれてます。

しかし腺様嚢胞癌は、5年間再発や転移がなくとも、10年後に再発や転移が見つかることがあるため、長期間経過を見る必要があります。遠隔転移するのは、主に肺や骨に転移しやすいと言われてます。転移の流れとしては肺→骨の順に転移するパターンが多いようですが、先に骨に転移する場合もあります。

遠隔転移の検査方法

腺様嚢胞癌が肺に転移した場合、自覚症状はほとんどありません。よって定期的に胸部CTでチェックするのが必須となります。但し医療機関によっては、PET-CTで全身を検査するところもあるようです。

私の場合、最初の治療から4ヶ月後の2014年3月に胸部CT検査を受けました。その後2015年2月にレントゲン検査、同年12月にCT検査にて肺に一つの白い影(約5mm)が確認されています。

腺様嚢胞癌の肺転移画像

肺転移の診断方法

CT検査で肺転移の疑いがある場合、白い影が転移性肺がんなのか、肺が原発の新たながんなのか、ただの炎症なのかを確認する必要があります。

良性なのか悪性なのかは病歴、過去の画像のレビュー、画像の特徴で鑑別することは可能ですが、原発性と転移性を鑑別することは難しいようです。腺様嚢胞癌については、がんの性質から転移性と考えられ経過観察をおこなうのが一般的とされています。

私の場合、肺転移の疑いが出た6週間後に再度CT検査を実施。大きさ、数の変化もないことから手術を勧められました。

しかし当時の私は、多くの仲間が肺に多発転移している状況をみて、自分もいずれ多発転移するのだから、切除してもまた転移が見つかり、いたちごっこになる、と悲観的な考えで、手術することを受け入れることができませんでした。

肺転移の治療方法について

胸腔鏡手術(外科的切除)

手術の一番のメリットは、画像診断では原発性、転移性なのかわからなかった腫瘍を切除して、組織診断ができること。組織診断によって今後の治療方針も明確になります。
胸腔鏡手術で部分切除をおこなった場合、入院期間は10日間。手術の2日前に入院、術後1週間で退院となります。

デメリットは手術跡が残ることと、肋間神経痛との付き合いが始まります。

陽子線治療(10〜20回)

陽子線治療のメリットは、切らずに治療ができ、痛みもないこと。そして入院せずに通院で治療が完了することです。

デメリットとして、陽子線治療は腫瘍を焼き切ってしまうので、転移性のがんか新たな肺がんなのかがわからないこと。そして治療費が高額であり、陽子線治療を実施している医療機関が少ないことが挙げられます。

ラジオ波焼灼術

ラジオ波治療は、皮膚を2~3ミリ切り径1.5ミリの電極を病変に挿入し、がんを100度に熱して死滅させる治療です。

ラジオ波治療のメリットは手術より体の負担が少ないこと。治療はCT透視をもちいて、局所麻酔でリアルタイムに動画を見ながら、細い針を刺しておこなわれます。入院期間は合併症がなければ2〜5日間。

但し、気胸(胸膜から空気が漏れて肺が縮むこと)など合併症が起こる恐れがあるのでリスクは大。陽子線治療と同様に、腫瘍を焼き切るので、腫瘍が何なのか診断ができない。

また、心臓に近い部分に転移している場合は不適応。治療の適応、不適応は経験と実績によって判断されるので、治療件数の多い病院を受診することが一番大切です。

最後に、ラジオ波治療は痛みが強い治療と聞いています(涙)

治療のタイミング、時期について

腺様嚢胞癌は成長が遅いがんであるため、治療のタイミングも検討しなければいけません。
同じがんで多発転移の方が、あるクリニックへセカンドオピニオンへ行かれました。そこで説明を受けられた内容がしっくりきたのでご紹介します。

「抗がん剤は一度使用してしまうと効きにくくなるので、治療を後にずらせれば、ずらせれるほどよいので今は治療しない方がよい。症状が出てきた時に効かないのが一番困る。しかし体力がなさ過ぎても治療は出来ないので、上手くタイミングを見ないといけない。」

自分自身が主治医になる

腺様嚢胞癌患者の場合、複数の病院に罹られている方が多いと思います。地元の病院、治療をした病院、そして複数の医師に診てもらい、今後の治療について話し合いがおこなわれます。複数の医師に診てもらうことは、さまざまな意見をいただくことができ、メリットが多いのですが悩むことも度々あります。

私の場合、度重なる医師の説得を受けて、ようやく手術をする気持ちになったのですが、手術を受けるタイミングは自分のものさしで決めました。
自分の病気について、誰よりも一番多くの知識を持っているのは自分です。主治医からの意見だけでなく、同じ病気と闘っている仲間が発信しているブログで、他の医師の意見も聞き、最後は自分で決めるのです。

私が当時参考にさせてもらったのは、山陰地方にお住まいの重粒子線治療をされた方のブログです。ブログから推測するに、私の一歩前を歩いておられる状況で、肺に転移し今後の治療を探るべく大学病院に向かわれました。その病院で「手術で取り除くにしても小さすぎる」と言われたそうです。

10mm以下の転移巣が7個存在していても経過観察。10mm程度まで成長したら、再受診して処置の相談をされるとのことでした。

この大学病院の医師の考えと、当時の私の考えが一致したことで「手術をするのは10mmまで成長した時」と決めました。そして肺転移発覚から9ヶ月後の2016年9月、大きさが7mm(呼吸器外科医の測定は最大10mm)転移は一ヶ所のままでしたので胸腔鏡手術を受けることにしました。

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コメント

  1. ひじき(陽寿君) より:

    この内容がまりもさんと知らず 今読んでいてビックリしてます
    ブログのコメントにだだの有難う御座います も送れなかったり ネットの世界 完全初心者の私には(?_?)でしかないです
    ACCの方の現状には 胸がキリキリします
    私は本来なら片肺全摘 在宅酸素生活の予定でした
    告知時はガラケーしかなく どうしたらいいのかわかりませんでしたが 介護職員である私からして QOLが著しく下がる手術はあり得ませんでした
    しかし 甲賀病院では手術しかない 放射線は癌を全身に散らすだけ 抗がん剤は効かない
    心臓の近くに癌があるため 滋賀医大で手術 術式は術者に任せる と言われました
    この時 癌の種類を聞いたら 普通の肺癌です と言われました
    滋賀医大で手術

    • ひじき(陽寿君) より:

      あれ 送れてしまってる

      続き 滋賀医大で手術の説明があり 受けたくないです と伝えると
      放射線科を紹介され 五年生存率が半分以下になりますが 本当に手術を受けなくていいのですか と確認されました
      このネットの世界はまだひと月も経っていません
      まりもさん始め 皆さん凄いです ブログありがたいです 感謝だらけです

  2. ひじき(陽寿君) より:

    もしかしたら 肝心な事を送れていないのかと思い コメント?
    します

    まず自分の状態をよく分かっていません
    他の方のネット情報から 私とほぼ同じ状態から 手術を受けて片肺全摘 されど7か月後に骨に転移 14か月後に亡くなった というものがありました
    故に 私はイミフェンジに期待していたが 放射線肺炎と肝炎になり 免疫チェック阻害剤は中止が決定し かなり凹んでました
    先日の受診日 奇跡の様なタイミングで 入院時知り合った方にバッタリ出会いました
    一人は扁平上皮癌と間質性肺炎の方
    一人は腺癌 脳、骨転移 更に肝臓に転移  お二人とも手術不可の方です
    待合の時 聞かれました 『手術はやはり受けないの?』と 手術希望の方からすると 例え在宅酸素が必要でも 受けた方が良いとなるみたいで 人によって感じる事は違うんだなぁ と気付きました
    私もあと数か月後には何処かの転移が見付かり そのまま死んでしまうのかなぁ
    後悔するのかなぁ と考えましたが 今現在 私のQOLの低下はなく ステロイド剤を内服している為 逆に調子は以前より良いぐらいです この状態は私の状態ではあるが 一時の状態かも知れず直ぐに後悔すかも知れないが でも誰かの知りたい情報ではないかと気付きました
    それと同時に 私が受けた 治療は標準治療です 調べてみたら 化学放射線治療というみたいです 抗がん剤も調べてみたらTC療法と云う 昔からある治療を受けた状態です
    その結果 癌は明らかに縮小 主治医、担当医共に 良く治療が効いた と言われました
    しかし私は免疫チェック阻害剤に期待していたし 癌をあまくもみてなかったので 全く喜べない言葉として聞いていました
    しかし 色んなブログを見て この情報は必要とされる方が居るのでは と思いコメントしようとしましたが 出来ませんでした
    いまこのサイトにたどり着けましたが また次たどり着けるかわからないので たくさん書きました 
    腺様嚢胞癌が肺癌原発の患者に 一時的になるのかもしれませんが 効果があったという情報を知っておいてください
    まりもさんなら役に立つかも と思いました
     

    • suisui より:

      ひじきさん、こんばんは。
      コメントのお返事が遅くなり申し訳ないです。

      実は以前お伝えしたTEAM ACCのリーダーはまさんですが、1月6日にお亡くなりになれたと今朝連絡がありました。
      体調が良くないのは知っていたのですが、まさかこんなに早く旅立たれるとは・・・驚きを隠せません。
      そんなこととは梅雨知らず、ひじきさんにははまさんへ連絡を取るをことを勧めていましたが、おそらく返事は来なかったですよね。
      はまさんのブログにもコメントを入れてくださっていたのに、はまさんにひじきさんをご紹介できなかったのは残念に思います。(もしかしたらコメントは読んでくれてたかもしれないのですが・・・)

      さて、腺様嚢胞がんについてですが、治療法は病院によって違いますし、出会う医師によって変わります。
      よく言われるのが腺様嚢胞がんは治療法が確立されていない、ということです。
      ひじきさんは腺様嚢胞がんは放射線、抗がん剤が効かないと言われているなか、効果がありがんが小さく(もしくはなくなった?)なったということは、私たちには非常に嬉しい事例であり、希望の光です。お話をしてくださりありがとうございました。

      いつかひじきさんの体験記をTEAM ACCサイトに投稿していただけると嬉しいです。

      長々と書いてしまいましたが、今後ともよろしくお願いいたします。

  3. ひじき(陽寿君) より:

    こんばんは
    はまさん 猫舌さん そして途中でブログが止まっている多くの方
    多くの事が 言葉足らずで申し訳ないんですが ショックでなりません

    まりもさんはずっと この癌サバイバーの世界で 若くから過ごされているんですね

    掛ける言葉も見つからず また まだ半年しか経っていない私には 怖くて 受け入れたはずなのに 受け入れられていない 何とも 言葉にできずに ここ数日過ごしています

    私は肺癌なので肺癌の方のブログもよく読みます

    しかし肺癌の方の亡くなる方のいかに多い事か  現実が突き付けられます

    腺様嚢胞癌の肺原発の方に14歳の女の子の術式の記録がありました
    ステージはⅡでしたが 片肺全摘でした

    私は肺癌原発の為 肺癌の基準で治療が進みます
    肺癌にも何種類かの希少な癌はありますが 大きくは2種類に分かれます
    小細胞癌か非小細胞癌かです 希少な肺癌は非小細胞癌に分類されていて
    治療は非小細胞癌として進められます

    記録としての腺様嚢胞癌肺原発の化学放射線療法はありませんでした
    見つけた記録の7つの内 6つは肺全摘でした この内お一人は約一年後に亡くなられたようで 他の方々の事は 14歳の方を始めわかりません

    主治医に質問した話はしましたっけ
     今までこの病院で腺様嚢胞癌が肺原発の方は何人おられるんですか と聞いたら
    今までおられない との返答でした

    言葉がどうしてもまとまりません

    まりもさん 頑張って下さい   有難う御座います

    • suisui より:

      ひじきさん、こんばんは。
      コメントのお返事が遅くなり申し訳ないです。
      今週は深い悲しみの中で生活をしていました。
      ひじきさんと繋がったばかりなのに、このような悲しいお知らせが続き大変心苦しく思います。
      腺様嚢胞がんが怖いイメージと植え付けてしまったのなら申し訳ないです。

      ただ知って欲しいことが一つだけあります。
      はまさんは2013年のがん告知から約9年、2015年の肺転移発覚から無治療で約7年生きてこられました。
      猫舌さんは2015年から約7年、肺転移、脳転移が見つかるとできる限りの治療をおこない、最後まで生きることを諦めずに治療に向かわれました。
      お二人とも、自分の信念を貫き通して生き抜かれました。
      その間に、同じ病気の仲間と楽しい時間を過ごし、支え合いながら生きられたので、おそらくご自身の人生に満足されていると思うのです。

      私は34歳からがんと向き合い、がん種の枠を超えて多くのがんサバイバーさんと交流しています。
      繋がりが増えると、このように悲しい知らせが度々届きますが、病気で繋がった宿命なので受け入れるしかありません。
      たとえこれからもこのようなことがあっても、私はご縁があれば同じ病気の方と繋がりたいと思います。
      そして少しでも、お役に立つことができれば、私が今生きている意味があるなと感じるのです。
      残念ながらTEAM ACCははまさんの死去により活動停止になりました。
      それでも今まで通り、繋がったご縁は継続していきたいと思います。
      ひじきさん、これからもよろしくお願いいたします。

  4. みーな より:

    sui suiさん、はじめまして。
    TwitterやFacebookに疎く、どうやったらsui suiさんと繋がれるか自分なりに考え、コメントさせていただきました。

    私は2021.3月に涙腺原発の腺様嚢胞癌と診断され、重粒子線治療を行い、経過観察していたところ、今月に頭部MRIで脳転移が見つかってしまいました。

    今後は化学療法を提示されたのですが、やるしかないとはいえ、不安です。
    腺様嚢胞癌で化学療法の経験者と繋がりたいと思い、コメントさせていただきました。

    どうぞ宜しくお願いいたします。