【子宮筋腫手術以外の治療】子宮動脈塞栓術UAEの体験談

IGTクリニック

2017年6月に子宮動脈塞栓術を受けました。がん治療のような切迫感はありませんが、治療をするまでに随分と悩み、情報の少なさに嘆くことが多かったので、今後治療を検討される方の為に記事にしました。

【子宮筋腫手術以外の治療】子宮動脈塞栓術UAEの体験談

私が子宮筋腫に気づいたのはがんが見つかってからすぐに受けたPET-CT検査。
検査結果に子宮筋腫、卵巣嚢腫の疑いがあると書かれていました。しかし当時はがん治療が優先だったので、婦人科を受診したのは3ヶ月後。たまたまがん治療で入院していた病院が総合病院だったので診てもらうことにしたのです。

子宮筋腫は7cm

最初に婦人科を受診したのが2013年11月。エコー検査で子宮筋腫が7cmであることを知りました。医師に言われたことは
「ゆくゆくは手術をしなければいけない。今後は地元の病院で継続して診てもらいなさい」ということで地元の病院に紹介状を書いてもらいました。

2013年12月、紹介状をいただき地元の病院でMRIを実施。
当初は子宮筋腫の術式として腹腔鏡手術を実施している病院がよいと思い受診したのですが、婦人科部長曰く
「腹腔鏡は表は綺麗でも中はぐちゃぐちゃなんですよ。あなたの場合は卵巣にも腫瘍があるので開腹してしっかりと確認しながら治療をする開腹手術のほうがよいでしょう」と。

先生の言葉は納得させられることが多く、当時は腹腔鏡ではなく開腹手術でこの先生にお願いしたいと思っていました。

胸腔鏡手術を経験、手術以外の方法へ

しかし2年後にがんが肺に転移し、胸腔鏡手術をしたことで手術は2度としたくないと思うように。子宮筋腫の治療も手術以外の方法を探していたところ、子宮動脈塞栓術(UAE治療)にたどり着きました。

子宮動脈塞栓術のメリット、デメリット

子宮動脈塞栓術の一番のメリットはお腹にメスを入れずに治療ができること。治療期間も短く1泊2日から3泊4日程度で退院でき、手術よりも社会復帰までの期間が短くなります。
そして2014年から保険適用になったことで、費用面でも手術と大差なく受けることができます。また子宮動脈塞栓術は手術に該当するので医療保険に加入の場合、保険会社から保険金が支給されるのです。

デメリットは根本的な治療ではなく、対症療法になること。子宮動脈塞栓術を受けても筋腫はなくなりません。個人差がありますが約30%ほど筋腫が小さくなると考えてください。

子宮動脈塞栓術の適応条件

治療を受けるにあたり、子宮動脈塞栓術には適応条件がいくつか存在します。これは病院によって違いがあり一概に言えませんが、総合病院はクリニックよりも条件が厳しい印象がありました。

例えば、済生会滋賀県病院の場合は

  1. 子宮筋腫が存在する。
  2. 子宮筋腫による過多月経、疼痛、圧迫症状などの臨床症状があり、薬剤よる対症療法でコントロールができない。
  3. 将来の妊娠・分娩を希望しない。
  4. 外科的手術(子宮全摘術や筋腫核出術)を希望しない。
  5. 現在妊娠をしていない。
  6. 子宮癌検査が陰性である。
  7. 閉経前である。

この中でも「将来の妊娠・分娩を希望しない」は、多くの医療機関で提示されています。しかし全ての医療機関が受け入れを拒否している訳ではありませんので、受診される前に確認されることをおすすめします。

治療のタイミング

子宮筋腫は良性腫瘍であり、発覚後は長期の経過観察になる場合が多いです。実際私も2013年8月に見つかり、治療したのは2017年6月で、約3年間経過観察を続けてきました。

私が治療を考え始めたのは、生活に支障が出る出来事が起こったからです。元々の自覚症状は、頻尿と腹部の圧迫感で深刻なものではありませんでした。ところが2017年2月に尿路結石になり、がん治療とは次元の違う苦しみを味わいました。その2ヶ月後再び尿路結石になり、こんな苦しさを繰り返すのは嫌だ、という思いから治療を考えるように。

2度目の尿路結石が落ち着くと、すぐに婦人科医に紹介状を書いていただき子宮動脈塞栓術に向けて動き出しました。

そして3年ぶりのMRIの検査は

  • 子宮筋腫:9cm×8cm、6cm×5cm、4cm×3cm、他小さな筋腫が多数
  • 卵巣囊腫:4cm×3cm

子宮動脈塞栓術前の筋腫と膀胱

子宮動脈塞栓術前の卵巣

ご覧のように筋腫はへその下付近まで成長し、膀胱は押しつぶされている状態。これでは頻尿になり、尿管は圧迫され尿路結石になるわけだと納得。やはり経過観察ではなく治療をする段階にきていたのです。

病院を選ぶポイント

治療をすると決めたら、次はどこの病院で治療をお願いするかを考えます。実は子宮動脈塞栓術を大きくアピールしている医療機関は多くありません。もし放射線科のページで取り上げられていたら、UAE治療に力を入れて取り組んでいると考えてよいと思います。

治療実績をチェック

最も注目する点は、治療実績が多い医療機関を選ぶこと。これはがん治療でお世話になっている放射線科医からのアドバイスです。

入院日数の確認

私が調べたところ、医療機関によって入院日数の違いがありました。最短は1泊2日で、午前に入院、午後から治療、翌日退院というパターン。以前は2泊3日で治療をされていたようですが、塞栓物質が改良され短期入院が可能になったとのこと。

一般的には3泊4日で治療の前日に入院、治療から2日後に退院が多いようです。

治療を受けるまでの流れ

医療機関が決まったら、現在通院している病院で紹介状を作成してもらいます。病院によっては紹介状に加え腹部のMRI画像が必要となるので確認を。
また婦人科と連携している医療機関は紹介状不要の場合もあります。ただしMRIを受け、結果が出てから術前検査をおこないますので治療までに3〜4回通うことになります。

私の場合、地元の病院でMRIを受けていたので、初診時に治療日が決まり術前検査(心電図、X線、血液)を終えたので、次回は入院日という流れでした。

子宮動脈塞栓術UAE治療の記録

子宮筋腫の入院治療

ここからは、私の体験談とともに治療について説明します。

2017年6月10日(Sat)

治療前日の夜に、手術の順番は3番目と伝えられ、朝食をいただくことに。

11時頃、まずは座薬ボルタレンを看護師さんに挿入してもらう。その後術着に着替え、点滴、尿管と処置は続き12時ベッドで血管造影室へ。
今回の治療は動注化学療法と同様、局所麻酔でおこなわれます。
治療が始まる前にまずは痛みのレベルについての説明。1から10で痛みを表現するのですが、真ん中の5は眉間にしわが寄るぐらいの痛み。

ベッドから治療台まで歩いて移動後、患部の消毒などがおこなわれ局所麻酔開始。その後細めのカテーテルが入ったと思いきや、次に太めのカテーテル挿入。カテーテルの挿入自体はそんなに痛くないのですが、やはり太めのほうが気持ち痛かった。でも採血と同じ程度。

治療から30分は全く痛みがなく、その後徐々に痛みが出始め痛みレベル2からスタート。院長は予めレベル5になれば鎮痛剤入れるからねと言っていました。
その後レベル3を継続、治療から90分経過頃レベル4と報告。

治療が終了し、止血が始まったのは13時47分。その後スタンチベルト(止血ベルト)を装着して病室に戻ったのが14時。きっちり2時間の治療となりました。

UAE治療後の様子

UAE治療が終わり部屋に帰ってきたのが14時。これから3時間ベット上での安静が始まります。治療直後から痛みが強くなると言われていましたが、痛みが強くなることはなくレベル3程度でした。

ただ病室に戻る頃から生あくびが頻繁に出るように。これは20歳前後の生理痛がひどかった時の症状と同じです。当時は生理初日が一番重くて、嘔吐する時もありました。それに比べたら、今回の治療の痛みは何てことない軽いものでした。

今まで経験した痛みの度合いを比較すると(がん治療時は除く)
尿路結石>>20歳前後の生理痛>>>>>>>子宮動脈塞栓術>>最近の生理痛

という訳であっさりと安静の3時間は過ぎていきました。2時間を過ぎたところで、止血ベルトが解除され足の屈伸が可能となります。

それから一時間後、尿管と点滴を抜いてもらい安静解除。歩行も可能となりました。

しかし術着からパジャマに着替え終わった頃、気分が悪くなり嘔吐。すぐに吐き気止めの注射。夜ご飯は食べることはできませんでした。
ただしそれ以降は、吐き気を感じることはなかったです。

それから下痢と生理のような微量の出血が始まりましたが、翌日には症状がおさまりました。

退院は延期

今回の治療、子宮動脈塞栓術は術後の発熱が非常に辛かったです。予定では術後2日目の朝に退院ですが、高熱が続いた為に退院を一日延ばすことに。

ロキソニンが効かず、座薬ボルタレンを一日2回使用していましたが、効き目がなくなると38.5。それは退院日も同じで7時にボルタレン挿入。

熱が下がり始めた9時までは、本当に帰れるのか不安で不安で…。というのも、クリニックから自宅まで片道3時間、一人で電車を乗り継いで帰るからです。

なんとか家に辿り着くと、荷物を降ろして布団に直行。家に着いた時点ではまだ薬の効力は残っていたのですが、夕方になると熱が徐々に上がってきました。

治療後の筋腫の大きさ

治療後最初の検診は1ヶ月後、次に3ヶ月、最後が6ヶ月で、その後は希望すれば継続して診てもらうことは可能でした。

さて6ヶ月検診を終えた筋腫のサイズは最大筋腫9㎝が7㎝になり、治療前から2㎝小さくなっていました。私としてはもう少し小さくなって欲しかった、というのが本音です。

治療を振り返って

治療から1年以上経過してから記事にしたのは理由があります。それは子宮動脈塞栓術を選んでよかったのか、今も考えるときがあるからです。それは筋腫がもっと縮小して欲しかった、という思いと、再び大きくなることへの不安が大きいのです。

しかし今回記事にする為に振り返ってみて、何もせずに問題を先延ばしにするよりはよかったんだと。そして治療直後に3度目の尿路結石になったものの、この一年は再発せずに穏やかに生活が送れているのは治療の成果だと思います。

これから閉経まで何年もあるので、再び治療をするときが来るかもしれません。その時はがん治療と同じように、その時代の最善の方法を選んで乗り越えようと思います。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする